鬱の時代〜鬱のこと〜

五木寛之 香山リカ 著 「鬱の力」 を読んだ。

現代病ともいえる鬱病を多角的に考察した対談集。


高度成長期という”そう”の時代を経て、
リーマンショック後の長期不況の”うつ”の時代へと社会が入っている。
そういった時代に生きる私たちが直面する鬱にどう対処するべきか。


そもそも鬱というものを悪として捉えること自体に異論を唱えている。
それは内省する行為であり、世の哀切を感じる感性であると。
鬱な気分を受け入れ、そこから広がる世界があるのではないか。


私自身、この鬱を受け入れるということに違和感をもっていない。
そもそも鬱に近い精神状態が普通なので、
一年365日、厭世観と焦燥感にかられているが、まるで呑気に生きている。


何も手につかない状態や、絶望で何も口に入らない、なんてことは一度もない。
恐らく哀切という、日本独特の感覚、枯山水を愛でる気持ちのようなものがあるからだと思う。
それはひとつの力であり、人生を豊かに生きるガジェットなのは間違いない。


鬱病かもと悩んでいる人がいたら、
それは感性であり優しさかもしれないと伝えてあげられたら良い。
が、そう悩んでいる人が素直に聴くかどうかは自信が無い。。。

鬱の力 (幻冬舎新書)

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