最高傑作〜演劇「春琴」のこと〜

演劇 「春琴」 を観に行った。


深津絵里主演、サイモン・バクバーニー演出。
去年も観に行った時にすこぶる感動し、今回再演ということで迷わず観に行った。
深津絵里といえば、モントリオール映画祭で最優秀女優賞を獲得し、今最も乗っている女優と言えるだろう。


私は深津絵里が好きだ。
「最終的に男は深津絵里に辿り着く」論を昔から唱えている。
彼女の芝居だから観に行っているのはもちろんあるのだが、それだけではない。
とにかく演出が素晴らしいのである。


舞台セットは特に無く、棒を組み合わせてシチュエーションを構成する。
襖であったり、木であったり、墓標であったり、それを棒だけで表現するのだ。
黒い空間に浮かぶ棒が観る者の想像力を煽るわけだ。


そして原作である谷崎の「春琴抄」は私の大好きな作品なのである。
簡単に言うと、SMの入った師弟関係の話しなのだが、その純度が高い。
この高慢な春琴を深津絵里が演じるわけである。ハイ、最高です。


さらに、幼少の春琴は人形を深津絵里が操りながら、子供の声でセリフをしゃべるのだが、
この人形がいい。
傀儡(くぐつ)の世界である。
闇に浮き立つ白い顔が蠱惑的であり、この世界観にはまるのだ。


書きたいことは無限にあるのだが、もう一度観てほしい。
私の中では最高の芝居である。
また再演があるのなら、今度こそ前の席で観たい。