妖艶なる世界〜演劇・星の王子さまのこと〜

演劇 Project Nyx公演「星の王さま」を観た。

寺山修司の伝説の演劇集団、天井桟敷の公演から数十年。
新たな解釈を加えて生まれ変わった。
スペシャルゲストとして初演に出演した蘭妖子と石井くに子、
さらに寺山修司と関わりの深かった、カルメン・マキ、中山ラビフラワー・メグが登場。


サン・テグジュペリ寺山修司の星の王子様が同時進行し、時に絡み合う。
イノセンスなものと肉欲的なもの、人の中にある星の王子様は一体何者か。


美術担当が宇野亜喜良という寺山修司と共に活躍した人で、この人の書いたパンフにまず惹かれた。
そして、音楽が黒色すみれ。以前から気になっていたユニットだったので観ることにした。


女優と人形で作り上げられているのだが、その妖艶な世界と言ったらない。
いわゆるエログロナンセンス。私は嫌いではない。
そのアングラ感が、演劇という有限の世界の中で眩しいくらいに輝いていた。


黒色すみれの音楽は生で聴くと怖いくらいだった。
良かったのが人形である。この劇ではかなり効果的に演出されている。
そして本筋とは関係ないゲストとして登場した中山ラビの演奏には痺れた。
結構な歳だがパンクファッションで、ギターをかき鳴らして、渋い声で歌ってくれた。
昭和である。


とにかく書きたいことは山ほどあるのだが、きっと伝わらない。
演劇でないとできないことがある。言えるのはこれくらいなものだ。