静謐な世界〜死者のための音楽のこと〜
山白朝子 著 「死者のための音楽」 を読んだ。
ジャンルで言うと怪談になるのかもしれないが、
この作品集はいわゆる怪談とは趣が違う。
怪談と童話の間というのが近いだろうか。
静謐とした語り口で物語りが紡ぎ出される、そういった表現が似合う。
淡々としていて、少しだけぞっとして、後に残るのは一抹の悲しさだった。
とにかく静かな短編集なのだ。
はっきりとした音、ではなく、無音という音を聞いている感じ。
遠い国のおとぎ話のようで、すっと自分の過去のように思える感じ。
そういった、表現し難い感覚を覚える作品だ。
こういう作品は良い作品である。そばに置いておきたい作品である。
あえて内容には触れないでおきたい。
興味をもったらページをめくってほしい。
7つの短編が収められているが、どれも私好みだった。
こういう作品があるから、読書はやめられないのである。
- 作者: 山白朝子
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2007/11/14
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