演劇というシステム〜長塚演出のこと〜

演劇 「南部高速道路」 を観た。


3月に観た「ガラスの動物園」に続き、構成・演出は長塚圭史
それだけでも観ようと思っていたが、なんとキャストに真木よう子が入っているではないか。
ビアガーデンで怒られたい女優NO1として私の中でお馴染みの真木よう子である。


場所はシアタートラム。一番好きな箱。なにせ狭いので何処の席でもよく見える。
しかも今回は、中央を客席が囲むような配置。2m先くらいで演技する感じ。


果てしなく続くとも思える渋滞の中、食糧や水を分け合いながらコミュティーが作られていく。
そのコミュニティーはやがてその場に根付いていき、深い人間関係が生まれていく。
しかし、渋滞はやがて動き出すことになる。。


私好みの不条理なストーリー。
稽古を即興から始め、そこから形を整えていったという実験的な作品だ。
それでいてとても完成度が高い。
緊張と緩和のバランスがとても良く、演劇にありがちな軽薄な笑いも無い。
観ていくうちに、シニカルな笑いがふっと出てくる感じは、さすが長塚圭史といえるのではないか。


深いテーマをチラリと感じさせながら、淡々と物語は進む。
閉鎖的な舞台の中で、閉鎖的なストーリーを描く。
これはなにより演劇というシステムでしか表現できないことだと思った。


真木よう子は想像をはるかに超える小ささに驚いた。
でも、声はやっぱりドスが効いていて怖い。。。あの媚びない目はやっぱり魅力的だ。
しかしそれ以上に良かったのは、江口のりこ
NHKでやっていた「野田ともうします」の野田役の女優。
個性派にカテゴライズされると思うが、とても良い味出していた。
彼女の舞台はまた観てみたい。