許しの芸〜落語のこと〜

アートリンクで上野まで出て、ちょうど良い時間だったので落語を聞きに黒門亭に行った。


今回は上方落語、つまり大阪の落語を聞く機会に恵まれた。
生で上方落語を聞くのは初めてかもしれない。


桂茶がまという落語家さんで、演目は「手水廻し」。
江戸落語とはまた違う言葉とテンポで笑わせてもらった。
それにしてもこの黒門亭は本当にいろんな噺家が登場する。


トリは桂南喬。演目は「松引き」。
いわゆる粗忽者の話しである。
粗忽者というのは、そそっかしい人のことである。


落語にはそういう粗忽者が無くてはならない存在である。
そういうそそっかしい人を笑って許す、この笑って許すというのが落語の醍醐味だと思う。
先日「私は悪くない症候群」について書いたが、日本人に必要なのはこういう気持ちではないか。
笑って許す。どうしょうもねえな、と言って許す。
落語はそういう救いの芸でもあるのだ。


そんなややこしいこと抜きにして、笑っていられりゃ幸せである。